グレイグよ。まだ前に進めぬか。夢の中にまで私に会いに来てくれるとはなかなかにご執心のようだな。一国の将が聞いて呆れるぞ。毎年花を持ってくるのもお前くらいのものだ。まあでも、返事をしなくてすまなかったな。このような仰々しい書き方になるのも、お互いクセだろうから許してくれ。
筆を執るのも、読み取るのも苦手なお前のために、簡潔に述べよう。グレイグ、俺もお前のことを好いていた。だがそれを伝える資格は、俺にはない。それだけのことだ。俺はお前の言葉で聞くことが出来て、もう悔いはない。いままで、苦しめてすまなかった。 夢とは言え、再び隣に立つことが出来て、本当に嬉しかった。嬉しかったんだよグレイグ。蜃気楼の世界だとしても、あそこは俺の現実だった。
グレイグ。僕のことを忘れないでくれ。お前だけは、ホメロスという男がいたことを、覚えておいてくれないか。なあ、頼むよ――僕の幼馴染。僕の好きだった人。